ピザ屋で晩ごはんを食べていたら、友だち数人に外で待ちぶせされていて、そのまま海までドライブすることになった。
なんとなくみんな高ぶって、でもそれと悟られないようにしていて、そうしているうちにカーステレオからはロイエアーズのEverybody Loves the Sunshineが流れだす。
あーいいね、なんて言って首を揺らしながら、今だけは全部許されているような気分になる。気分だけ。
夜の海辺には誰もおらず、うろつきながら見る黒々とした海の向こう側に、空港の滑走路と、そこから飛びたつ飛行機の灯が互いに別れを惜しむようにチカチカしている。
その日のことを思いながら歌を作る。思い出を語るのではなくて、あの時に漂っていたムードや温度感を。それはいつ、どこで、誰が、を曖昧にしていく。未来のことを言うために過去の話をする。現在のことを言うために未来を。
僕らの一晩が他の誰かの一晩になる。人称も時制も曖昧になって、気配だけになる。