2019年7月9日火曜日

Tones

ピザ屋で晩ごはんを食べていたら、友だち数人に外で待ちぶせされていて、そのまま海までドライブすることになった。
なんとなくみんな高ぶって、でもそれと悟られないようにしていて、そうしているうちにカーステレオからはロイエアーズのEverybody Loves the Sunshineが流れだす。 
あーいいね、なんて言って首を揺らしながら、今だけは全部許されているような気分になる。気分だけ。
夜の海辺には誰もおらず、うろつきながら見る黒々とした海の向こう側に、空港の滑走路と、そこから飛びたつ飛行機の灯が互いに別れを惜しむようにチカチカしている。
その日のことを思いながら歌を作る。思い出を語るのではなくて、あの時に漂っていたムードや温度感を。それはいつ、どこで、誰が、を曖昧にしていく。未来のことを言うために過去の話をする。現在のことを言うために未来を。
僕らの一晩が他の誰かの一晩になる。人称も時制も曖昧になって、気配だけになる。

2 件のコメント:

  1. エピソードが素敵過ぎて。完璧ですね✴
    許されている、とラジオでもおっしゃっていて、耳に残っていました。
    気配、という言葉も、いいなあ。
    上手く表現出来なくて、残念です。
    ブログが開いた瞬間、とても北里さんぽい、とてもらしさが出ていて、文章もエッセイのようで、吸い込まれるように読みました。
    アルバムが楽しみです。

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  2. エルメート・パスコアールを聴いております。
    最高です!まだ1曲目ですが。
    明日から楽しく出勤出来そうです!

    唐突ですが、いつか北里さんもポエトリーリーディングをしてくれないかなーと思っています。
    もうしてたらごめんなさい。

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